このようにユーザー一人ひとりやコンテンツの一つひとつが、その他のユーザーによって評価を受けて、蓄積された評価によってサイト上での表示順などが変化する仕組み、すなわち、他者からの過去の評価が大事な指数になることを「評価経済」と言います。

Redditでは、「評価経済」の仕組みをサイトのさまざまな箇所に戦略的に組み込むことで、「生の情報」と「信頼性」を担保しているのです。

インスタやツイッターの「生情報」は検索に引っかかりづらい

先ほど、Google検索の質が落ちたのは主に「広告」や「SEO」が原因だと述べましたが、実はもう一つ要素があると考えています。それが「生情報の分散化」です。

2000年代のブログ全盛期には、個人がブログで日常の出来事から商品レビュー、旅行記まで「生の情報」を発信していました。

ところが資金力の豊富な企業がSEOを重視したサイト運営をするようになり、アルゴリズムが変わっていくにつれて、大きなトラフィックを生まない個人ブログは上位に表示されにくくなっていきました。

書き手の思い込みや意見をふんだんに盛り込んだ個性的なブログが表示されづらくなる一方、SEO対策を施した中身の薄いまとめ記事が上位に表示されるようになったのです。

その結果、ブロガーたちは発信場所をInstagramやTwitter、Redditなどに移していきました。私が長年ウォッチしていたファッションブログも、先日更新を停止し「今後はInstagramに注力していきます」とアナウンスしていました。

写真=iStock.com/Sushiman
※写真はイメージです

これは、ウェブサイトを更新するコスト(ブログを毎日書くのは、毎日Instagramを投稿するよりもはるかにコストがかかります)に見合うリターンが得られなくなったための経済的選択です。

こういった流れにより生情報を提供するサイトが減少してきているのです。Google検索では、InstagramやFacebook内に投稿されたコンテンツの細かい内容まではクローリングできないため、検索結果には表示されません。

Google検索では求める生情報がそもそもウェブサイト上に掲載されておらず、さまざまなアプリや外部クローラーをブロックするサイト上に分散してしまった——。このためGoogle検索は生情報になかなかたどり着けず、ユーザーの期待に応えるような検索結果を出せなくなっているのです。

独自の存在感・役割をみせる日本のTwitter

アメリカでは情報収集ツールとしてRedditを活用する人が増えていますが、現時点では英語圏での普及にとどまっています。日本ではほとんど普及していません。

それはなぜか。言語以外の理由を挙げるとすれば、おそらく日本ではTwitterが独自の存在感を示しているからではないでしょうか。

日本の多くのTwitterユーザーは、複数のアカウントを使い分けています。趣味や仕事、興味関心に合わせて複数のアカウントを作り、属性が似ていたり、その分野に詳しかったりするユーザーをフォローすれば、特定ジャンルのリアルタイムで有益な情報が得られます。