病院も閉鎖し診察できず、薬ももらえない
4月1日に上海の別の友人から聞いた情報では「現在住んでいる棟に陽性者が1人でも出た場合は14日間、自宅ドアから外に一歩も出られない。同じマンション群(ゲート内)に陽性者が出た場合は7日間、自宅ドアから出られず、8日目から14日目までゲート内から出られない。同じ区域内(東京でいえば1丁目から4丁目までなどのやや広範囲なエリアのこと)に出た場合は7日間ゲートから出られない」ことになった。
むろん、食料不足という問題だけでなく、補償がないため労働者は仕事を失ったり、賃金がもらえなくなったりするし、小売店や飲食店は売り上げが大幅に減り、生活が打撃を受ける。病院も閉鎖となるため、持病の薬がなくなり、生命の危機に陥る人もいるし、1月の西安のロックダウンのときのように、陰性証明が切れた妊婦が病院で診療してもらえずに死産した、というような問題も十分に起こり得る。
「コロナで亡くなる前に政府に殺されてしまう」
「もし今、自分や家族が急病になったらもうアウトかもしれない」と嘆く人もいる。実際、3月下旬には上海の看護師が喘息の症状を訴え、自身が勤務する病院の救急外来に駆け込んだが、感染対策のためだといわれて拒まれ死亡するという悲しい出来事があった。
同じく3月末、上海市内で喘息の男性の家族が救急車を呼んだが来ず、たまたま通りかかった救急車に家族が「AEDを貸してください! お願いします!」と何度も懇願したが、別の患者のための救急車だといって救急隊から断られ、結局、死亡したということがあった。
これらの件は中国メディアでも報じられているほか、動画やSNSでも多数出回っている。SNSでは「なんて非情でお役所仕事なんだ。これでは、コロナにかかって亡くなるよりも先に、政府に殺されてしまうよ」「あとで謝罪したって、命はもう戻ってこない」といった批判の声が相次いだ。こうした問題が身近に起こっており、もろもろの不安から、市民の間に強いストレスがたまっていることは確かだ。