日中にたっぷり使われた脳を冷却する役目も

それから、睡眠には「脳のなかの老廃物を外に排出する」という働きもあります。この作用には、認知症を防止するという側面もあるとされています。

極端な表現になりますが、「睡眠不足が続けばいずれ認知症を引き起こしかねない」――そういわれれば、睡眠の重要性をわかってもらえるかもしれませんね。

さらには、血糖値を安定させたり、精神的な落ち着きを取り戻させたりするといった作用など、睡眠が果たす役割は枚挙にいとまがありません。

もっと大きな視点で睡眠の存在理由を考えてみます。これは、「そもそも、なぜ人間は眠るのか」という問いに対する答えといえるかもしれません。

それは、人間が生きていくためにはなるべくエネルギーを使わない時間が必要だからです。そして、睡眠によって体力を節約する時間が生まれたことが、他の動物と比べて人間を飛躍的に進化させました。

また、人間ほど脳を酷使する動物も存在しません。日中にたっぷり使われた脳は、いわばオーバーヒート状態にあります。その脳を冷却してメンテナンスをすることにも睡眠は使われています。

つまり、人間が人間らしく活動するために、睡眠はなくてはならない重要な要素だということです。

(イラストレーション=伊藤美樹)
関連記事
平均余命が7歳縮む…「中高年のダイエット」が危険すぎるワケ
「長生きしたいなら揚げ物をたくさん食べなさい」在宅医療の第一人者がそう断言するワケ
「まあ、いいや…」和田秀樹が警鐘"40代から一気に脳の老化が進む人"の危険な兆候
エナジードリンクは逆効果…眠気を吹き飛ばし、本当に脳を活発にする食材の3大要素
「健康診断は不要である」そう断言する和田秀樹さんが、これだけは…と勧める"2つの検査"