「愛の力で夫を生まれ変わらせる」

【CASE4】「悪いのは全部女のほう」と思い込むケース

Fさん(29歳)の1歳年上の夫は、2年という結婚生活の間に3回も浮気騒動を起こしているなかなかのつわもの。夫の浮気が発覚するたび、Fさんは親や友人から「子供のいないうちに別れたほうがいい」「離婚してもまだ十分やり直せる」などと諭され、Fさん自身も離婚を考えることもあったという。

Fさんいわく「夫は脇が甘い。だから、いつも女性から狙われているし、誘われるとノーとはいえないようだ」と夫のことを分析。その結果、3回も浮気をされても、「結局は夫に対してまだ愛情があるので、別れられない」と思ってしまうとのこと。浮気が発覚しても、その瞬間は夫に対する怒りの感情があるものの、次第に「ひょっとして、ウチの夫はだまされただけなのでは? 悪いのは全部、浮気相手の女のほうに違いない」などと、怒りの矛先が浮気相手の女性に向かうのだった。

最近になって4回目の浮気疑惑が持ち上がったときは、とうとう離婚相談で私の元に訪れたFさん。ところが、話を聞いているうちに「妻として私の責任もある。愛の力で夫を生まれ変わらせるので、もう一度チャンスを与えようと思う」と離婚を思い直して帰っていった。

写真=iStock.com/AndreyPopov
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「夫は許せない、でも……」

「夫とは今すぐ離婚はしない」という妻が考える理由には、大きく分けて「お金」「子供」「プライド」「夫への愛」の4つが存在する。いずれも、「夫のことは感情的には許せない」という事実があるうえで、「でも、生活をしていくためにはお金がかかる」「でも、子供のためには父親が必要だ」「でも、妻として譲れないプライドがある」「でも、夫への愛情あるいは愛着はまだ消えていない」というそれぞれの思いがある。

たしかに、離婚で失うものは小さくない。「今ここで別れるより、我慢して結婚生活を続けていたほうが得策だろう」と考えられるなら、離婚は先送りにしたほうがいいともいえる。

後悔しない選択をするためには、「夫はこの先も変わらないだろう」「また夫に裏切られるかもしれない」と、相手を軸にして考えるより、「その結果、自分は幸せになれるだろうか」「自分らしく生きていくために自立すべきタイミングは今か」などと自分が主導権を握って考えることも必要だろう。

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