その結果、暮らしは脅かされました。保育園の休園で仕事に行けない子育て世帯を直撃し、感染することより「陽性者」になることの社会的な影響を恐れる――。そんな本末転倒な状況が、今も私たちの身近なところで起きています。
最初から「さざ波」と言われていた日本の新型コロナへの社会の過剰反応による自滅がいまだに継続していると言えます。
感染拡大しても「40代以下の致死率は0%台」という現実
前回記事でも指摘した通り、オミクロン株では陽性者数と死亡者数のリンク切れ、あるいはデカップリング(非連動)と呼ばれる状況が続いています。現在の新型コロナウイルスは、肺炎重症化するより感染により高齢者の体力が低下して誤嚥性肺炎などで入院していることが報告されています。
このことはECMO(extracorporeal membrane oxygenation、体外式膜型人工肺)装着者数からも明らかです(注2)。年初からの「第6波」と呼ばれる状況下で、3月半ばになっても東京都では0~4人、全国でも1人~30人ほどで推移しています。デルタ株の「第5波」(2021年秋)では、東京だけで最大33人、全国で164人が装着していました。陽性者数が多くても肺炎の重症化が非常に少ない株に変異したことは明確です。
子供たちの感染状況を見てみましょう。
厚生労働省「新型コロナウイルス感染症の国内発生動向:2022年3月1日24時時点」によると、年代別の累積陽性者数は20代が最も多く、40代以下が全体の約75%を占めています。死者数を見ると10代未満はゼロです。10代は7人です。致死率を見れば、40代以下は0%台にとどまっています。
学校の休校、保育園の閉鎖は本当に必要なのか
東京都医師会の定例記者会見(2月8日)で、小児科医の川上一恵理事は、子供の大多数は軽症にとどまると指摘。「学校という場について、特に公教育は、公立の小中学校と言うのは、親の経済状態にかかわらず全ての子供が通える場です。そこがいかに子供たちを、心身ともに豊かな子供として育っていく場にするか、やはり私たちは経済を回すのと同時に、子供の教育もしっかり回すことをそろそろ考えないといけない」と述べました(注3)。