リクルートエージェントの水谷智之社長も欧米とは異なる日本の人材会社の役割がなくなることはないと指摘する。
「日本では、自分のキャリアや次の仕事を決めるという際に、情報収集力と本人の意思決定力が欧米に比べて弱いという特徴があります。人材エージェントが持つ人材情報、つまりリスト屋さんとしての価値は下がっていきますが、転職する際の意思決定を促すカウンセリング機能の重要性は今まで以上に増してきていると思っています」
人材リストの価値が低下することを認めたうえで、水谷社長は4つの将来像を描く。
「SNSの登場で情報が転職に使われるということは、リストビジネスのイノベーションが起こっていると見ることができる。そのイノベーションをリクルートグループでやるという選択肢が一つある。それから、人材紹介業の本来の役割であるカウンセラービジネスとしての機能を研ぎ澄ましていくこと。3つ目は企業のダイレクトリクルーティングが増えるとすれば、プロである我々のスタッフを企業に出向ないし派遣し、代行していくというリクルーティング代行ビジネスの展開です。もう一つは採用候補者リストが世の中に幾らでも出回るようになると、企業の担当者も誰をどのような順番で攻めていくのかと迷うことになる。そうしたニーズに対するリクルーティングコンサルティングビジネスも広がるでしょう。この4つについて検討し、やっていく準備をしようと考えています」