実際に登録者からも同じような声が上がっている。大手IT企業に勤務する岡本祐介氏(28歳)は友人からの招待メールで英語版のリンクトインに登録。日本語版もアップしているが、リンクトインの活用はもっぱらセルフブランディングとネットワーキングという。
「学歴と社名しか公開していません。転職する気はありませんが、それでもヘッドハンターから毎月一通はオファーレターがあり、交流を通じて自分の市場価値を客観的に把握するのに参考にしています。さすがに仕事の内容までは書けない。一つは、社外秘情報になる可能性があること。もう一つは、転職する気かと思われたらおしまいだからです」
リンクトインには岡本氏の会社の社長や役員も登録しており、なおさらおかしなことはつぶやけないという。リンクトインに登録している大手企業の社員は「実名以外に社名とポジションぐらいという人が多い。アピールできる仕事の内容が書けない以上、転職ツールとして使えないのでは」と指摘する。
ビズリーチの南壮一郎代表取締役は日本企業のハイエンド層に浸透するのは難しいとしながらも「増えるとすれば若手のビジネスパーソンだろう」と指摘する。
「この層はリクナビネクストなどの転職サイトの層と重なる。仮にこの層に対するダイレクトリクルーティングが普及すれば、人材を抱え込んでいる転職サイトの価値がなくなり、企業が払う手数料も下がる。同様のことがアメリカでも起こりました」と語る。