人々の恐怖が為政者を萎縮させる悪循環

冒頭で、重点措置の効果を疑問視し、要請の見送りを表明した奈良県知事の「勇気のある発言」を紹介しました。

なぜ「勇気が要る」かというと、新型コロナがほとんど無害であり、常在するものになっても「コロナはあくまで忌避すべき」という間違えた認識が国民の間から払拭ふっしょくされないからです。とにかくどんなものでもコロナはダメなんだという意識です。

岸田文雄首相は「やりすぎのほうがまし」と述べるなど、オミクロン株が確認されて以降、水際対策を強化するなどした結果、内閣支持率は政権発足から過去最高となりました。まん延防止重点措置の適用もこの延長線です。

1月23日に投開票された沖縄県名護市長選や7月の参院選など、今年は重大な選挙がめじろ押しです。政権は恐怖と不安にさいなまれ続ける世論の声を決して無視できません。

まず、私たちの意識を変えなければなりません。前述の唐鎌氏の発言を借りれば、「経済に与えるダメージがクローズアップされてくれば『やり過ぎの方がまし』という現在のコロナ対策の基本姿勢」を修正されていくことでしょう。

そもそも「コロナはあくまで忌避すべき」という認識を、世界や日本で確認されたデータを基に、私たちの意識をアップデートしていかなければ経済も暮らしもよくなりません。

それを最初から放棄して、いまだに自粛とワクチン一辺倒を続けているのが、コロナ専門家です。コロナの感染拡大当初から継続されているマネジメント失敗の本質と人災の原因だと言えるでしょう。いつまで感染拡大とか濃厚接触なんて言っているのでしょう。本来ならコロナのさらなる弱毒変化をアドバイスするのは、専門家の仕事のはずでした。

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子供にワクチンは必要なのか

専門家のマネジメントの失敗は、ムダな行政にもつながっています。無症状者や軽症者が圧倒的多数であるにもかかわらず、PCR検査と濃厚接触者の追跡を保健所は強いられ、機能不全に陥ってます。日本経済新聞は「濃厚接触180万人試算、社会機能に支障 人手不足深刻に」という記事で、その現状を報じています(注8)

子供たちにも悪影響が出ています。

私は最近、クリニックを訪れたお子さんから「先生、聞いて。学校のどこかに陽性になった子が出て、休校になっちゃったんです。いろいろな楽しみにしていた催し物も全部キャンセル。そのお子さんも無症状みたいなんです。何のための休校なんですか」と質問されました。

私は「常在ウイルスをムダに調べるからだと思います」と答えるのが精いっぱいでした。