大学教授らの手によって国内初の精子バンクが誕生

精子提供の問題に話を戻すと、提供を希望する人はこのままリスクを伴うTwitterを使わざるを得ないのだろうか。第三者の卵子や精子で生まれた子供は増え続けており、推定で1万人以上に上ると言われている。この状況に合わせ、少しずつではあるが法整備などが整いつつある。

去年12月には、第三者から卵子や精子の提供を受けて生まれた子に関し、親子関係を明確にする民法の特例法が成立。卵子提供者ではなく卵子提供で出産した女性が母となり、妻が夫の同意を得て夫以外の精子提供を受けて出産した場合、夫は生まれた子の父となるとされた。

また、インターネットで「精子ドナー」「精子バンク」などと検索すると、SNS以外にもさまざまなマッチングサービスが見つかる。あるマッチングサービスは、精子提供者の学歴、血液型や年齢、居住地などで選べるようになっている。顔をモザイクなどで隠したり、風景や猫などの写真になっている人もいるが、顔写真を掲載している人も多い。多くの場合は事前に面談を行い、方法などについて相談することとされている。

獨協医科大学の岡田弘特任教授の調査では、日本語で精子提供をうたうウェブサイトなどは140以上ある。しかし、このうち約92%で感染症検査の有無、提供への同意や契約書類などについての記載がなく、提供を受ける人に対する情報提供が十分ではなかったという。

このような実態を危惧した同特任教授らによって、国内初の精子バンク「みらい生命研究所」が誕生。精子提供者は20〜40歳までの治療に理解のある医療関係者などに限定し、感染症の検査を行った上で妊娠する確率が高いと思われる精子を選び、契約を結んだ医療機関に提供する仕組みとなっている。

生まれてくる子供の権利を守られることが一番

デンマークの世界最大の精子バンク「クリオス・インターナショナル」も日本窓口を開設するなど、信頼性の高いサービスも登場している。ドナーはデンマーク人などが中心だが、性病や遺伝病などについては十分に検査されており、選択的シングルマザーや同性カップルなども利用できる。

しかし、やはり希望するすべての人が提供を受けられ、コストや人種などの問題をクリアできるまでには程遠い状態だ。

とはいえやはり、SNSにおける精子提供はあくまで個人間取引の一つで、どうしてもトラブルが多くなる。自衛のためには、事前に相手の情報をできる限り客観的な形で集めて信頼できるかどうか確認すべきだ。また、希望者が増えている現状を踏まえ、より信頼性の高いサービスを受けられる環境が整うこと、そして一番には生まれてくる子供の権利が守られることを期待したい。

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