お金持ちは食事代をケチらない

一方、お金持ちには人におごりたがる人が圧倒的に多い。もちろん、お金を持っていることを見せびらかしたいという欲望もあるだろう。だがそれだけではない。多くのお金持ちにとって食事や飲み会は投資なのだ。

親のお金を相続するのではなく、ゼロからお金持ちになるためには、投資や事業など何らかのリスクを取る必要がある。食事や飲み会では意外と重要な情報が得られることが多い。接待など仕事に直結していない会合のほうが、変な打算がないのでなおさらだ。だからお金持ちは食事を重視する。

ごちそうしても無駄になることはない

筆者の知人である40代の女性は、一生懸命貯めたお金を頭金にローンを組んで、アパートの一棟買いをした。その後、次々に物件を購入し、今ではかなりの大家さんとなっている。彼女はアパート経営を始めるにあたって、知人友人のツテをたどり、飲み会を何回も企画した。その中で、実家や親類が土地持ちでアパートを経営している人をそれとなく聞き出し、その後は直接アポイントを取って一気に話を聞いた。

アパート経営の実態を聞かせてほしいという突然の依頼に、多くの人が躊躇したらしいが、熱心に口説いたところ、多くの人が会って食事をすることをOKしてくれたという。

しかも、食事の効用なのかはわからないが、多くの大家さんが細かい利益の数字までオープンに聞かせてくれたというから驚きだ。

食事代には何十万円も使ったそうだが、彼女に言わせれば「経験のないことにチャレンジするのに情報は必須。数千万円のチャレンジをするにあたって、経験者の情報が数十万で手に入るならタダみたいなもの」という。まさにその通りである。

食事が投資なのはわかったが、せっかく食事をしても無駄になることが多いのでは? ある実業家K氏のコメントを紹介しよう。

筆者「たくさん食事や飲み会をしても、無駄になることが多いのではないですか?」
K氏「そうですね。飲み会の8割が無駄になります」
筆者「8割への出費は無駄と諦めるのですか?」
K氏「とんでもない! その人には今後会う価値がないとわかることは大きな収穫です」

お金持ちは気前よく食事代を出す。もし一緒に食事をした相手にがっかりしたとしても笑顔でおごってくれる。だがお金持ちは、その相手と食事を共にすることは二度とないだろう。要するに、そういうことなのだ。