高学歴だからといって、お金持ちになれるわけではない

たしかに日本では、勉強ができていい学校に入れると、いい会社に就職ができて、いい給料がもらえるという思考パターンを小さい頃から叩き込まれる。しかし、実際にはそんなことはない。苦労して高学歴を得た勉強エリート君は、その事実を受け入れたくない。

そのために、やたらと学歴ばかりが強調される、という結果になる。

学歴エリートと呼ばれる人の中にも、実はお金への欲求が極めて強い人は多い。そしてその多くが、自分でもそのことに気づいていない。

エリート公務員がつまらない賄賂を受け取って処分される事件や、一流企業の社員が高級時計を万引きするケースなどが報道されることがある。「なんで⁉」と思うような話だが、お金に対するコンプレックスと考えると説明がつく。

勉強エリート君は基本的に「まじめ」である。先生や親から勉強すればいい生活ができると教えられると、まっしぐらに努力する。しかし、長年の受験勉強に耐えて入った一流企業の給料では、実は思ったほどお金持ちにはなれない。

一方で、中卒だが商売で成功した人は若くしてベンツに乗り、ロレックスの時計をしている。この事実に折り合いがつかないのだ。勉強エリート君は、本当はお金持ちになるための努力をすべきだったのだ。

ドル紙幣やクーポン券のイメージ
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1ドルの割引券を探すビル・ゲイツ

お金持ちはケチだとよく言われる。たしかにそれは本当だ。多くのお金持ちが無駄なお金を使わないが、何でも出費を抑えているわけではない。使うべきところには使っている。

お金持ちは、どこに金を使うべきかという感覚がふつうの人とは異なっているので、ある部分が一般人から見たらドケチに見えるだけなのだ。

14兆円を超える途方もない資産を持つマイクロソフト元会長のビル・ゲイツ氏が、ポケットに入っているはずなのに見つからない1ドルの割引券を探すために、何分も他の客をカウンターで待たせた話は有名だ。自分が必要ないと思ったものへの出費には、絶対に首を縦には振らない典型例だ。

筆者の知り合いに、ハワイの高級コンドミニアムを所有する女性資産家がいる。ネットショッピングをした際に、サイト側の手違いで2倍のポイントが付かなかったことに対し、1時間猛烈に抗議したというのだ。

資産家にとって2倍のポイントなど必要ないように思えるが、彼女は「ポイントが2倍だったから買ったの。そうじゃなければ買う価値がない商品よ」と答えた。