川内優輝がプロトタイプを履いて8年ぶりの自己ベスト

2021年箱根駅伝でアシックスを履く選手0人という“惨敗”から約2カ月後、同社に“希望の光”が差し込む。アドバイザリースタッフ契約をしている川内勇輝(あいおいニッセイ同和損保)が、2021年3月のびわ湖毎日マラソンで快走を見せたのだ。

同レースは、ナイキ厚底シューズを着用していた鈴木健吾(富士通)が2時間4分56秒の日本記録を打ち立てると、ナイキ勢が好タイムで続いた。そのなかでアシックスを履く33歳の川内が2時間7分27秒の10位でフィニッシュ。ソウル国際でマークした2時間8分14秒の自己ベストを8年ぶりに更新したのだ。

川内は長年アシックスの薄底タイプを愛用してきた。レース後には、「こんなことを言うのはあれなんですが、(アシックスの)厚底に変えたのが大きいのかなと思います」と口にしている。このときに履いていたのが、後に発売されることになる『METASPEED(メタスピード)』シリーズのプロトタイプだった。前出の開発担当者は言う。

「川内選手の長きにわたる努力の成果が花開いたことと、その足元にMETASPEEDがあったことをうれしく思いました。マラソンで結果を出せたことは当社にとっても自信になりましたし、シューズに対する興味関心がびわ湖を境に増えたことを肌で感じました」

そのびわ湖毎日マラソンの後、アシックスは「METASPEEDシリーズ発表会」を行い、ストライド型のランナーに対応した『METASPEED Sky』とピッチ型のランナーに対応した『METASPEED Edge』の発売をアピールした。価格はどちらも2万7500円(税込)だ。

写真提供=アシックス
右がMETASPEED Sky、左がMETASPEED Edge。価格はどちらも2万7500円(税込)。

記者発表に出席した川内は、「練習でも履くことでフォームがよくなり呼吸が楽になったのを感じています。今後もトレーニングを継続するなかで2時間6分、5分を目指したい。アシックスにはよりよいシューズ、走っていて楽しくなるシューズを開発してほしいと思います」とコメントした。