実際に計算してみよう。6月募集の固定3の適用金利は0.20%。変動10の適用金利は0.77%。1年後に中途換金した場合は、中途換金手数料として1年分の税引き後の利息額が差し引かれるため、ともに利息額はゼロとなる。2年後に換金したとすれば、手数料を引いて正味1年分の税引き後の利息が手取り収入になり、年平均利回りは固定3が0.08%、変動10が0.308%。3年満期まで保有すれば、固定3の年平均利回りは0.16%。変動10は中途換金になるので、年平均利回りは0.411%となり、いずれの期間も収益の差は2倍以上となる(表ケース1)。

しかし、この試算は変動10の適用利率が変わらないと仮定した場合。変動10の適用利率は半年ごとに見直されるので、それも考慮して試算しよう。

10年10月に長期金利は約7年ぶりに1%を下回ったが、当時の最低金利は0.848%。この金利を基準金利とすると、適用金利は0.848%(財務省HPより)×0.66≒0.55%。仮に発行から半年後に適用金利が0.55%に急低下し、14年7月(固定3の満期)までそのままとすれば、変動10の税引き後の年平均利回りは1年後はゼロ、2年後は0.264%、3年後は0.323%となり固定3をやはり上回る(表ケース2)。もっと極端なケースとして、長期金利が史上最低水準を記録した03年6月の0.435%に低下した場合も(表ケース3)、固定3の収益に負けることはない。

表には固定5と比較した場合も示したが、変動10の年平均利回りが固定5を下回る可能性は低く、固定5は魅力半減といっても過言ではない。固定3、固定5のテコ入れを期待したい。

なお、金利が比較的高いことで人気のあるネット定期預金の金利は7月中旬現在、期間1年で高くても0.3%(税引後0.24%)程度。1年以上預けるなら、中途解約しても変動10が有利だろう。

最後に、冒頭に挙げた愛称はマウンテン=変動10、ゴーイング=固定5、マンスリー=固定3が正解である。

※すべて雑誌掲載当時

(坂本道浩=撮影)