人気復活を目指し適用金利をテコ入れ
「マウンテン」「ゴーイング」「マンスリー」。この3つが何かわかる人は、かなりの金融商品通と言っていいだろう。財務省が11年6月、個人向け国債をリニューアルした際に付けた愛称であるからだ(正解は文末に記載)。
個人向け国債は、変動金利の「変動10」と、固定金利で期間3年の「固定3」、同じく期間5年の「固定5」の3種類。今回のリニューアルでは、変動10と固定5がテコ入れされた。固定5は中途換金条件が変更されただけだが、変動10は、2011年6月募集(第35回債)から適用金利の計算方法が大幅に変わった。今までの適用金利は「基準金利-0.80%」で計算されたが、第35回債からは「基準金利×0.66」に変更された。
第35回債の基準金利1.17%をベースに新旧を比較をすると、旧方式では1.17%-0.80%=0.37%が適用金利。新方式では1.17%×0.66≒0.77%(小数点以下第3位切り捨て)となり、新方式では倍以上の金利が得られる。しかし、今後金利が上昇すれば旧方式が上回る。基準金利が2.33%以下では新方式が有利、基準金利が2.34~2.36%の場合では金利は同じ、基準金利が2.37%以上になると旧方式が有利だ。
今回の変動10の改訂により、固定3の利用価値はゼロになったといえるだろう。中途換金が可能となる1年以上であれば、どの期間で区切っても、変動10の利回りが固定3を下回る確率は限りなくゼロに近いからだ。