何らかの特徴を際立たせることで、No.1を創り出す
そのちゃんこ屋さんは、帰り際に子どもにおもちゃをくれるのですが、それだけでは他のお店でもよくあることでしょう。
しかし、このちゃんこ屋さんの店主は、威勢よく、「2個持っていっていいよー」と声をかけるのです。
そう、この「2個」というのがポイントです。子どもたちは「おもちゃをくれるお店は他にもあるけど、2個もくれるお店はここしかない!」ということで釘付けになり、印象を強く残すことになっていたのです。
「おもちゃ2個もらえるところ行こうよ」と子どもたちから声をかけられる状況が続き、いつの間にか常連になってしまいました。
このように、何らかの特徴を際立たせることで、No.1を創り出すことができます。それは、必ずしも売上やシェアといったものでなくてもいいのです。
こういった考え方のことを「ポジショニング戦略」といいます。
ポジショニング戦略とは、ターゲットとする顧客の頭の中に、自社にとって有利な状態で印象を形成してもらう戦略です。セグメンテーション、ターゲティングの次に位置付けられる企業の活動です。
スタバやサンマルクに勝つにはどうすればいいか
ポジショニング戦略には、大きく分けて二つの方向性があります。
○方向性1:既存の軸の中でNo.1をとる
○方向性2:新規の軸を置いてNo.1をとる
顧客は自然と、自社と競合を頭の中で位置付けています。その位置付けを可視化したものが「ポジショニングマップ」と呼ばれるものです。
通常、縦軸と横軸で4象限を形成し、その中に自社と競合を位置付けて表現します。
方向性1は、ポジショニングマップの縦軸・横軸を既存のものから変えずに、自社の位置付けを変える戦略です。
例として、喫茶店チェーンで考えてみましょう。
縦軸に価格帯(高め⇔低め)、横軸に品数(バラエティ重視⇔厳選商品)をとると、あくまで私の主観ですが、【図表1】のようにポジショニングマップを描けます。
ここで自社が戦略的なポジションをとるためには、どちらかの軸でNo.1をとる必要があります。
仮に「バラエティ重視」の軸でNo.1をとるとしたら、スターバックスコーヒーやサンマルクカフェをしのぐ商品のバラエティを用意し、PRすることが求められます。