日本にも「フェミニズム憎悪」が存在している

このような思考回路を聞いて思い出すのは、2021年8月6日、小田急線内で起きた無差別刺傷事件だ。加害者の男は、10人に重軽傷を負わせたが、その中で20歳の女子大生に狙いを定めて、執拗に追いかけて背中まで刺して殺そうとした。当時の報道によると、男はその理由について、こう述べた。

「幸せそうな女性を見ると殺してやりたい」
「女性なら誰でもよかった」

韓国やアメリカで起きている「フェミサイド」が日本でも広まりつつあるようにしか見えないが、マスコミや専門家は、何か都合が悪いことでもあるのか、「レッテル貼りはよくない」「無差別殺人者の心の闇に注目すべき」とかワケのわからない論法を持ち出して、まるで日本には「フェミニズム憎悪」は存在しないかのように必死に取りつくろっている。

しかし、ネットやSNSを見てみるといい。この加害男性のように、女性に憎悪を抱き、フェミニストを罵り、社会を悪くする犯人だと断罪している男は山ほどいる。

冒頭で紹介した電通の調査を「世代間の意識のズレですな」なんて呑気な話で片付けているうちに、静かにアメリカや韓国のような過激な反フェミニスト運動が広がっているのだ。

暴力やヘイトは水と同じで、高いところから低いところへ流れる。つまり、弱い立場の人が狙われる。日本は多くの国で憎悪や排斥の対象となる移民がいないため、若い男たちの怒りや不満は、もっぱら中国人や韓国人に向けられてきた。が、今のまま低賃金が続くようなら、新たな「サンドバッグ」も必要になる。

韓国のように、若い男たちが「フェミニストは死ね!」と叫びだす日も、そう遠くないかもしれない。

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