毎週のように動物愛護のイベントが開催される

「香港では町全体に動物愛護のチャリティー活動が浸透しています。住宅地などでは里親探しのプロモーションなど、毎週のように動物愛護のイベントが開催されます。子どもから親まで参加できるチャリティーイベントがたくさんあり、先日もビクトリアピークに犬と一緒にハイキングに行くといった活動がありました。こうした活動を通して、子どもの頃から動物に対する愛情を育んでいます」

香港は1997年に中国に返還されるまで英国による統治を受けたが、その英国では1824年に、世界で最初の動物福祉を目的にした動物虐待防止協会(現・英国王立動物虐待防止協会、RSPCA)が設立された。1911年、英国が欧州の各国に先駆けて動物保護法を立法化したのは、この団体の強い働きかけがある。

筆者撮影
店番をする猫。香港でも生活の中に動物が溶け込んでいる

香港の動物保護団体の積極性は、こうした背景も由来しているのかもしれない。戸張さんも「香港も動物愛護団体の力や影響力はかなり強いです」と語る。

13匹を殺した男は“神”として崇められていた

日本では、動物の福祉向上を目指して果敢に活動する動物愛護団体に「公益財団法人動物環境・福祉協会Eva」(理事長:杉本彩氏、以下Eva)がある。事務局長の松井久美子氏によると、「実は、“金もうけ”だけではなく、虐待そのものを目的にして公開動画を楽しむ“虐待愛好家”もいるのです」という。

虐待マニアの間で賞賛を浴びたい……そんな“歪んだ名誉欲”が虐待をエスカレートさせる。典型的な事件に“さいたま猫虐殺事件”がある。2016年1月から2017年4月にかけて起きたこの事件は、捕獲器に閉じ込め何度も熱湯を浴びせたり、ガスバーナーで焼いたりなどして多数の猫を虐待死させるというもので、それを動画撮影した埼玉県の元税理士の男が有罪判決を受けた。

「動画への書き込みなどをたどると、元税理士は、残虐な行為をするほど視聴者から“神”として崇められ賞賛され、『もっとやれ』という視聴者のリクエストに応えようとした可能性があります」と松井氏が話すように、虐待の背後にあるのは「みんなの注目を浴びたい」という稚拙な動機のようだ。