2年以下の懲役刑が「5年以下」に厳罰化

その欲求を満たすために行ったのが、文字通りの“虐殺”である。しかし、元税理士に対して下った判決は「懲役1年10カ月、執行猶予4年」(求刑は懲役1年10カ月)だった。

Evaはこの判決に対し「とうてい納得できる処罰でない」と罰則強化のための運動を始め、全国から集めた請願署名を国会に提出した。2019年6月に動物愛護法の第44条1、2項が改正され、「愛護動物をみだりに殺し、又は傷つけた者は、五年以下の懲役又は五百万円以下の罰金に処する」こととなった。従来の「二年以下の懲役又は二百万円以下の罰金」からいっそうの厳罰化が図られた形だ。改正にこぎつけた裏にはこうしたEvaの活動もあった。

ドイツでは犬にもパスポートが与えられる

これから日本のペットは法律でどう守っていけばいいのか。ひとつのモデルになるのは“犬中心の社会”であるドイツだろう。ドイツ在住の知人は「ドイツの犬はまるで天国のような環境で日々を送っている」と話す。

筆者は10月にフランクフルトを所用で訪れたが、ドイツの犬には「パスポート」もあり、飛行機での移動の際は「貨物扱い」ではなく、飼い主と客室でフライトを楽しむケージに入った小型犬もいて、人間並みの待遇を受けていることに驚かされた。しかも、ドイツにはしつけの行き届いた犬が多い。

筆者撮影
ドイツでもコロナ禍でペット販売数が増加。ドイツ食糧・農業省は1日2回の犬の散歩を義務付けた

ドイツ社会の動物に対する接し方は根本的に何かが違う。その1つが動物保護の歴史の長さであり、法律の中身だ。ドイツでは1837年に動物保護協会(現・ドイツ動物保護連盟)が創設され、19世紀には動物保護の法制度が存在していた。

ドイツの動物保護法については、早稲田大学法学学術院名誉教授で弁護士の浦川道太郎氏が執筆した論文「ドイツにおける動物保護の生成と展開」に詳しい。

1977~80年にかけてニーダーザクセン州のゲッティンゲン大学に留学し、現地での生活経験を持つ浦川教授は、「ドイツの動物保護法は、動物の苦痛というものを強く意識し、微に入り細を穿つようにして書かれている。脊椎動物は脊柱に神経が通っているので痛みを感じるという考えのもと、脊椎動物に苦痛を与えることに反対の立場をとり、動物実験にも厳しく違反者への刑罰も重いのが特徴です」と語る。

浦川教授の論文によると、ドイツの動物保護法は「合理的な理由なしに脊椎動物を殺害した者、粗暴な行為により著しい痛み・苦痛を脊椎動物に与えた者、または、比較的長時間持続し、反復する著しい痛み・苦痛を与えた者は3年以下の自由刑(自由を奪う刑)、または罰金に処される」と規定されている。罰金は、被告人の収入日額に日数を掛けて計算するといわれ、被告人の収入により異なり、同じ刑の程度でも、高額所得者は多くの罰金を支払うことになる。