犬や猫を飼う人はどんどん増えているが…
日本では犬や猫を飼う人が増えている。ペットフード協会の「2020年全国犬猫飼育実態調査」によれば、全国の推計飼育頭数は、犬は848万9000頭、猫は964万4000頭であり、1年以内の新規飼育者による飼育頭数は増加する傾向にあるという。
一方で、犬や猫の「虐待動画」もたびたび問題になっている。
2021年10月、子猫を浴槽に入れ無理やり泳がせ虐待した茨城県取手市の無職の男が、動物愛護管理法違反の疑いで愛知県東警察署に逮捕された。8月には沖縄県で、ボロボロの体で顔から流血するなどひどい虐待を受けた猫をYouTubeチャンネルで配信した2人の男が警察に通報された。それより前には、埼玉県の元税理士が、猫13匹に熱湯をかけバーナーで焼くなどして虐待死させた動画を撮影、有罪判決を受けた(筆者注:犯罪が証明されたのは13匹であり、実際はもっといたと言われている)。
虐待した飼い主に戻される日本は「あり得ない」
香港でペットの保護活動を行っている戸張綾香さんがオンラインで署名を収集するサイト「Change.org(チェンジ・ドット・オーグ)」で声を上げたのは2021年8月25日、沖縄県在住のユーチューバーが子猫の虐待現場を配信した“事件”をヤフーニュースで見た直後のことだった。
戸張さんが愕然としたのは、注目を集めたいばかりに、子猫の虐待現場を撮影し公開しようとするユーチューバーの存在と、沖縄県警が最終的にこの子猫を元の飼い主に戻してしまったことだった。
「日本では虐待した飼い主の元に犬や猫が戻されるケースが見られますが、香港ではこのようなことはあり得ません、動物愛護団体がこれを許さないのです」と戸張さんは話すが、残念ながら日本の民法では、動物は「物」とされ、ペットは飼い主の所有物とされるため、動物を所有者から離して保護することができない。
戸張さんはいてもたってもいられず、香港にいながら日本や世界に向けて「動物虐待をやめよう」と呼びかけ、署名活動に乗り出した。これには香港のみならず、米国、英国、フランス、ドイツ、タイ、フィリピン、インドネシアなどアジアや欧米各国の多くの国の人々が反応し、ユーチューバーの残虐性に「ノー」を突きつけ、多数の署名を寄せた。ちなみに、香港では動物保護に対する市民の意識はかなり高い。