「新しい資本主義」と「デジタル田園都市国家構想」というかけ声
11月11日付の読売新聞の社説はこう主張する。
「まずは、新型コロナウイルスの『第6波』に備えることが最大の課題となる。医療が逼迫した第5波の教訓を踏まえ、医療体制の確立に万全の対策を講じることが不可欠である」
「同時に、コロナ禍で打撃を受けた経済を立て直し、本格的な成長軌道に乗せていくための施策を急がなければならない」
新型コロナの新たな波に備え、その一方で社会・経済活動を立て直す。この実行は難しい。防疫では人の動きを抑えなければならず、人流を抑制すると、社会・経済が疲弊するからだ。岸田政権は感染症の専門家だけでなく、経済学者らの知見を得て、適切な方策を推し進めてもらいたい。
読売社説はさらに訴える。
「首相は自民党総裁選以来、『新しい資本主義』などのキャッチフレーズを掲げてきた」
「新しい資本主義」とは、成長と分配の好循環からなる経済だというが、分かりにくい。さらに岸田首相は成長戦略の主要な柱に「デジタル田園都市国家構想」も掲げている。デジタル技術を通じた地方の活性化を目指す構想だというが、これも中身が見えてこない。こうしたキャッチフレーズは一体だれが考えるのか。このままではかけ声倒れになってしまう。
読売社説も「その具体的な内容や、実現への方策は明らかではない」と批判し、「財源を含めた政策の全体像を早急にまとめ、今年度補正予算や来年度予算に反映させてほしい」と注文する。
その是非を見極めることができるように、せめて具体的な内容を分かりやすく私たち国民に示すべきだろう。