「常識欠如の国民が増える」という根深い問題
よくあるのは運転手と乗客が口論となるケースで、つい最近も、黒竜江省で乗客が運転手をキャリーバッグで殴るという事件があった。理由は「運転が遅すぎるから」だったが、このような事件は枚挙にいとまがない。
私自身も、数年前に、北京の地下鉄の車内で、自分の鼻をかんだティッシュを座席の下にポイ捨てする人を見かけたことがある。私がその人の行動をじっと見ていると、まるで「何が悪い!」といいたげな表情で、逆にこちらをにらみ返してきた。その人はすでに50代くらいだったが、以前は都市部でも、このような行為はたまに見かけることがあった。
近年はSNSの影響で、このような行為はすぐにスマホで撮影・拡散されるため、顔を撮られることを恐れて減少しているが、根本的な部分で、道徳やしつけの問題が解決されているわけではない。政府が学習塾禁止令やゲーム禁止令、ボーイズラブ禁止令、しつけにまで介入するのは、すでに報道されているように、少子化対策や格差是正といった面がもちろん大きい。ただし、それだけでなく、ここで取り上げてきたような、全国レベルでの子どもたちの常識欠如という根の深い問題がある。これらを改善しなければ、国家は大変なことになる、という危機意識が隠されているのだ。