小学生の娘にご飯を一口ずつ「あ~ん」と…

北京に住む中国人の友人はある日、カフェでランチを食べている中国人親子の姿を見て「がくぜんとした」エピソードを聞かせてくれた。それは、小学5~6年生くらいの娘に母親がご飯を一口ずつ「あ~ん」と食べさせてあげている光景だった。

ビーガンカフェでアボカドバーガーのランチ
写真=iStock.com/Yagi-Studio
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「ビックリしましたね。娘は『当然』といった感じで、ときどき母親から促されて口を開けて食べ続けていましたが、手元には分厚い参考書があり、そこに目を落として勉強している様子でした。いくら勉強が忙しいからといっても、その年齢で親にご飯を食べさせてもらうなんて信じられない。一体、この親はどんなしつけをしているの! と憤りました」

友人の驚きはもっともだが、私は以前も同じような話を聞いたことがあった。比較的富裕層で、子どもの教育に熱心なあまり、「とにかく勉強が大変。だから勉強以外のことはすべて親が代わってやってあげなくては……」と思っていて、中にはこんなことまでしてしまう親がいるのだ。食事を食べさせることは極端な事例だが、子どもの靴紐を結んであげる、通学の際、重い通学カバンを持ってあげる、ことは珍しくない(都市部では誘拐などの心配があるため、小学生の登下校は親や祖父母、家政婦などが同行することが一般的)。

通学がかわいそうだからと高校の近くに引っ越し

さらに「勉強」自体にも親が深く関わっている。「双減」政策が出される前まで、親は深夜まで子どもの勉強に“伴走”することは当たり前だった。学校の宿題自体も多いが、学習塾の宿題もあるため、小学校低学年でも勉強は午後11時、12時までかかることもある。親はそれにずっとつき合わなければならない。そうなれば、1分でも早く宿題を終わらせるために、自宅でも勉強しながら、親が子どもの口に食事を運んであげることもあるのだ(宿題のチェックを終えると、それを保護者間のSNSグループに報告することもある)。

次は、しつけというわけではないが、こんな話もよく聞く。日本でも報道されたことがあるので知っている人も多いと思うが、中国の一部の都市では、大学受験が近づくと、親が子どもの高校のすぐ近くに別宅(マンション)を借りて、そこに住み始めるのだ。