「言葉狩り」は40年以上前から存在している

ご存じの方もいらっしゃるだろうが、実は大手企業の中には、「言葉狩り」に備えて、新製品や新サービスをローンチする前に、ブランド名や商品名、広告やテレビCMが差別的ではないか、ジェンダーや人権問題に引っかからないかということを、第三者に依頼をしてリスクの調査をするケースが少なくない。

そんなことをしているのか、と驚くかもしれないが、実はこのような調査はかなり古くから行われている。「言葉狩り」は何も近年に現れた現象ではなく、40年以上前から企業が頭を悩ます問題だったのだ。

例えば、古いところでは1975年、活動家の市川房枝氏が、ハウス食品のインスタントラーメン「ハウス シャンメン しょうゆ味」のテレビCMに抗議をした。ラーメンが置かれたテーブルの前で、女性と女児が「わたし、作る人」と言い、続いて男性が「ボク、食べる人」と言うという演出が、「男女の役割分担を固定化するものである」というのだ。「バカバカしい、こんなアホな言いがかりは無視すべきだ」という消費者の声もあったが結局、ハウス食品は放送中止を決めた。

外部の人間に炎上リスクを評価してもらう意義

このようなケースは表沙汰になっていないものも含めたら枚挙にいとまがない。会社に女性団体が押し寄せて、世間にわからないように新しいCMや広告に差し替えるなんて事態は山ほどあるのだ。

このような「言葉狩り」を事前に避けるためにも、新商品・新サービスの企画が立ち上がった段階で、「外部の人間による事前のリスク評価」が行われるようになった。そんなことをしたことがないという会社は、ぜひお勧めしたい。社内の人間だけではどうしても、「売りたい」「企画を実現したい」という思いが強すぎて、「世間からどう見られるか」という視点が欠けてしまうのだ。

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あと、これは組織の問題なのですぐに実行に移すことは難しいが、プロジェクトの企画や意志決定にしっかりと「女性の視点」を反映させることが重要だ。男だらけのチームに「紅一点」のように、女性社員を数名入れて体裁を整えるのではなく、発言権を持つ立場、決裁者にもしっかりと女性を入れるのだ。