② 肺炎が少なくなる
これは要介護5の寝たきりの高齢者が多い老人施設で明らかになったことです。定期的に歯科衛生士による専門的なケアをしてもらうと、風邪や肺炎にかかる人が少なくなるほか、誤嚥性肺炎のリスクが軽減されることがわかりました。
肺炎は日本人の死因5位の病気です。口をきれいにすることが命を守ることにもつながるということです。
③ インフルエンザの発症が少なくなる
在宅療養の高齢者が歯科衛生士に定期的にケアしてもらうと、自分で歯をみがいているだけの人に比べて、インフルエンザの発症率が約10分の1になったという結果が出ました(図表1)。定期的なプロケアを受けることで、風邪や肺炎だけでなく、インフルエンザの発症も防ぐことができるのです。
歯周病菌がウイルスの働きをアシストしてしまう
インフルエンザウイルスは、ただ鼻や口のなかに入っただけでは感染しません。ウイルスと、鼻や口の細胞がくっつく(結合する)ことで、はじめてウイルスの増殖がはじまり、感染したということになるのです。このウイルスとの結合をアシストするのが、歯周病菌をはじめとする口のなかの悪玉菌です。
とくに歯周病菌のタンパク質分解酵素は、この結合力を高めるはたらきをすることがわかっています。つまり、歯周病の人はインフルエンザに感染しやすいということです。このタンパク質分解酵素は、もともと身体のなかにもあるものですが、微量のため、インフルエンザウイルスに感染するリスクはそれほど高いものではないのです。
しかし、ジンジバリス菌は強いタンパク質分解酵素をもっています。ほかの歯周病菌もジンジバリス菌にはおよばずともタンパク質分解酵素をもっています。ですから、歯周病菌をはじめ非常に強いタンパク質分解酵素を持っている悪玉菌が口のなかにいると、インフルエンザのウイルスが口のなかに棲み着きやすくなってしまうということなのです。