1キロ走るコストは日産リーフが2円、MIRAIが8.8円

2020年に発表された第2世代MIRAIではタンクが従来の2本から3本、容量は141リットルになり5.6キログラムの水素を充填できます。航続距離850キロメートル、東京―大阪間を無補給で走破できます。

燃費はどうでしょう。初代MIRAIと電気自動車(EV)の日産リーフのカタログデータをもとに、電気と水素の比較を簡単に計算してみました。

(写真左)トヨタのMIRAI(写真=Turbo-myu-z/CC-BY-SA-4.0/Wikimedia Commons)、(写真右)日産のリーフ(写真=Kazyakuruma/CC-Zero/Wikimedia Commons

MIRAIの場合、満タン5キログラムの水素を充填でき、航続距離650キロメートル。単純計算で1キロメートル走るのに、0.008グラムの水素を消費します。水素の売価はどこの水素ステーションでも1キログラム=1100円なので、0.008グラムで、8.8円。1キロに対するコストは8.8円です。

同じ計算をリーフですると、満タンで40kWh(キロワットアワー)、航続距離400キロメートル。1キロ走るのに0.1kWhの電力を消費します。その売価は2円なので、1キロに対するコストは2円。

電気自動車に比べると、燃料電池車の走行コストは4倍以上ということになります。現状での水素エネルギーの弱点は結局のところ価格ということになります。

ちなみに、ガソリン車との比較はどうなるのか、計算してみましょう。

ガソリン車は具体的に車種を限定するのは難しいので、一般的に燃費性能が15km/リットルの場合、ガソリンの売価を150円/リットルとすると、1キロメートルを走るのにかかるコストは10円となります。

走行コストに関しては、電気自動車に大きく水をあけられているものの、ガソリン車との比較ではほぼ同じ、というのが、燃料電池車の現状です。

2030年に水素ステーションは5倍に増える

水素燃料電池車に水素を供給する水素ステーションは、現在(2021年8月)全国に166カ所あります。全国に3万カ所あるガソリンスタンドと比較すると、安心できる数字とは言い難いでしょう。今後、燃料電池車を普及させていくためには、水素ステーションの増設が必要条件となるはずです。水素基本戦略では、2030年には900カ所にまで増やすことを目標にしています。

水素ステーションの形態は、大きく分けて3つあります。

オンサイト型と呼ばれるタイプは、ステーション内で天然ガス、LPガス、メタノールなどを改質して水素を製造します。水素の供給には、製造装置の他、圧縮機、蓄圧器、冷凍機などの設備が必要となるため、広い敷地面積が必要です。

オフサイト型は、外部で製造した水素をトレーラーやローリーで運んで貯蔵しておき、燃料電池車に充填します。敷地面積が限られた場所でも開設が可能です。

また、大型トレーラーの荷台に水素供給のための設備一式を搭載した移動型ステーションもあります。週1~2回と限定されるものの、複数の場所で水素供給が可能になります。