多死時代が続けば日本人はやがて絶滅する?

こう書くと、そのまま「少産多死時代」が延々と続けば日本人はやがて絶滅するのではないかと危機感を抱くかもしれませんが、決してそうはなりませんのでご安心ください。大量の高齢者群が多死時代を経て縮小した段階で、多死時代は終わります。そして、それは現在の中高年者偏重型のいびつな人口ピラミッドが、全年代均等型に補正されるからです。

すると、人口が増えもせず減りもしないという静止人口に落ち着くことでしょう。歴史人口学的にはこうした事態が日本では過去3度あったと言われています。直近では、江戸時代享保期以降、幕末安政期までの約130年間がそれにあたります。

さて、これからは死亡者が増える多死社会が来るというお話をしてきましたが、実は2020年は死亡者が前年より減るという結果となりました。9月10日に発表された2020年人口動態調査確定値によれば、2020年の死亡者数は137万2755人で、前年より8338人も減少したのです。死亡者数が前年より減ったのは11年ぶりです。新型コロナウイルスの影響であれほど命の危機が叫ばれた中、結果として死亡者が減ったということはよいことだと思いますが、年齢別の状況を見ると決してそうともいえません。

現役世代全部の自殺が増えている深刻さ

全体死亡者数が減っているにもかかわらず、全体の前年比で増えているのが70~74歳など一部の高齢者を除けば、15~29歳の若年層であるということです。しかも、死因分類で見ると、高齢者で特に増えている原因は老衰等であるのに対し、若者の死亡が増えているのは病気というよりほぼ自殺です。自殺に関していえば、64歳までの現役世代全部が前年比で増えています。そうした若者を中心とした年齢層の自殺が増えたことは由々しい問題だと思います。

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コロナ禍で外出の自粛などが叫ばれ、この1年半というもの、特に若者は、学校へも遊びにも行けず、大きな不自由を強いられました。いつも対面でコミュニケーションをとれていた友達との接触機会の喪失は、彼らに大きな孤独感を与えたのではないかとも思います。