「教育移住」で月の家賃が8万円アップ

結婚当初、東京都下の賃貸マンションで暮らしていた金城夫婦は、「教育移住」として都心の2LDKのマンションに移り住んでいました。それまでの家賃は12万円でしたが、引っ越してから10年以上、毎月20万円の家賃が発生していたのです。

この時点ですでに、私が16年前に作成した80歳までのキャッシュフロー表からは大きく外れていたことになります。

このマンションを選んだのは、日本屈指のエリート公立小学校への進学を狙ったからでした。受験に落ちた場合のセーフティーネットと考えたそうです。

実際、金城さんのお子さんは小学校受験を見送って名門公立小学校に進学。中学受験という道をたどりました。

「教育移住」自体、珍しいものではありません。板橋区から文京区といった都内間での引っ越しだけでなく、県外から東京に移住してくる方もいますが、いずれも都心部への引っ越しとなるので、それまでより住居費が大幅に高くなります。加えて、塾代や学費といった純粋な教育費もかかりますので、教育移住は慎重に必要経費を見積もる必要があるビッグプロジェクトと言えます。

ただ金城さん夫婦の場合、バリキャリ同士の晩婚夫婦だったゆえ、互いに1000万円ずつの貯金もあり、手取りにすると毎月60万円ほどの収入もあったので、20万円の住居費でも当面は問題なかったのでしょう。

水泳、英会話、ピアノ…習い事だけで月10万

しかし問題はここからです。

未知子さんは子供が幼稚園に入ると早速、習い事を始めさせました。水泳、英会話、ピアノ……等々、あらゆるジャンルの習い事にチャレンジし、専業主婦の未知子さんは日々、教室から教室へと送迎で忙しく過ごしていたそうです。

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なかには1回40分、週1回で月2万円という高額な教室もあり、「習い事だけで毎月10万円になっていた」と、今にも消え入りそうな声で話してくれました。たしかにこの金額は、かつての私のアドバイスからはかけ離れたものでしたから、未知子さんはずっと相談しづらかったのでしょう。

そうして小学校4年生になると、中学受験に向けて本格的に塾に通い出しました。その分、お稽古ごとの比率はガクッと下がったものの、5年生になると塾にプラスして家庭教師もつけるように。

以前もお伝えしましたが、「お受験」は、財布を握っている親が熱くなってしまうと、かなり危ないことになります。子供の頑張りを見れば、親が応援したくなるのは自然なこと。しかも、目の前に使えるお金があればなおのこと、歯止めをかけるのは難しいのです。