増加する「児童ポルノ」被害者

警察庁の「令和2年における少年非行、児童虐待及び子供の性被害の状況」によれば、SNSに起因した犯罪被害に遭う児童の数は2011年(1085人)から2019年(2082人)まで、おおむね増加の一途をたどっている。

その中で注目すべきは、児童ポルノ禁止法違反の被害児童数である。2011年(217件)と比べて2019年は約3倍(671件)にも増加しているのだ。

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児童ポルノ禁止法では、18歳未満の児童の裸やそれに準じる姿の撮影を児童ポルノの「製造」として禁じ、送付・提供や公開等も禁じている。スマホ内、もしくはクラウドに保存している場合でも処罰の対象だ。具体的には、スマホで18歳未満の児童の裸体を撮影したり、または児童に写真データを送らせるなどすれば、法律違反となりうる。

富田が起こした事件のように、直接対面する事案だけでなく、SNSを介して出会った相手から裸の写真を送るよう求められるケースが昨今、後を絶たない。さらに、入手した児童ポルノ動画像データを、個人で見返すだけではなく、時に高値で販売するケースもある。

強制性交等や強制わいせつ、児童ポルノ禁止法違反などの罪に問われ、現在、横浜地裁で公判が続いている近藤善広被告(逮捕時33)は、複数の女児に性的暴行を加え、その際に撮影していた動画像を所持するだけでなく、6人に販売し約50万円の売り上げを得ていた。

デジタルデバイスを用いた性犯罪はインターネット上にデータが出回ってしまった場合、「デジタルタトゥー」として半永久的に残る。事件が起きたその時だけでなく、それ以降も被害者とその家族らを苦しめる。