子供が生まれたら「理想の父親像」も押し付けられる

加えて、出産の問題もある。

今のところは2人とも「そんな未来もあるかもね」くらいの認識であるものの、将来的には彼女が子供を残したくなることだってあるだろう。出産適齢期という言葉があるとおり、年齢を重ねるごとに不安は募ってゆくと思う。

出産や育児で国からいくらか手当てが支給されると聞くが、彼女が産休と育休をとれば、家に入るお金が減額されることに変わりはない。

仮に、僕がライターの仕事を増やして金銭面をクリアしたとしよう。これまでの家事に加え、育児の大部分を僕が担当することや、ママ友の輪に入っていくことは問題ないように思う。

筆者撮影
惣菜コーナーのカキフライと蕎麦、一見奇妙な組み合わせも彼女の希望。

だが、それでも気がかりなことは多い。子供や僕たちの両親はどう思うだろう。子供が生まれてからは、男性像や女性像に加え、今度は「父親像」「母親像」を求められるのではないだろうか。僕は男性が育児に不向きなんて毛ほども思っちゃいないが、今の日本でイメージされる「父親像」は、育児に専念するよりも外でバリバリ働き妻子を養う男性なのではないだろうか。

僕と彼女との間で合意がとれても、結婚や出産においては、彼女の大切な人たちの納得を得ないと彼女のヤキモキを取り払うことができない。

万が一、今、彼女に妊娠が発覚したとしても素直に「おめでた」と喜べない。それは、僕が外で働いていないからにほかならない。

男性が家事を担ってもいいじゃないか

もとより、ここまで好き勝手生きてきたヒモが、家庭を持とうなどおこがましい話なのかもしれないし、もちろん今は結婚だけがゴールインというワケでもないだろう。

しかし、僕が外で働かない男性であるばかりに、世間に一番納得してもらいやすい同棲の形、結婚の選択肢が取りづらいのは確かだ。

これからは男性が家事でサポートをする。そんなカップルがいてもいいように思うし、外で働かない男性に結婚する権利がないのかと聞かれれば、そんなこともないだろう。

筆者撮影
彼女いわく、ふみくんはパスタを作るときに毎回「乳化作業」の大切さを説くらしい。

しかし、2人を取り囲む全員の納得を得るには、まだ時間がかかるのかもしれない。

仮に、僕が彼女の両親へのあいさつを求められたのならどうするか……。

今思いつく最善策は、コレまでのヒモ生活で培ったハッタリを駆使し、彼女の両親に取り入って彼女の両親と仲良くなる。コレしかない。

少なくとも、今から就職して外で働く選択肢を取るよりも、彼女のご両親にかわいがられる存在になることのほうがずっと現実味がある。仲良くなれば理解だって後からついてくるかもしれない。

筆者撮影
友人宅で作ったアボカドとカニカマのサラダ。酒を飲む人と飲まない人でも作る料理を分ける。
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