結婚に至るまでのプロセス、求められる男性像は強固
システムこそ簡単であるものの、結婚に至るまでの過程には性別に伴った慣習が細かく用意されており、順序を守ることが強調されている。
例えば、片膝を立てて求婚、指輪の入った箱をパカっと開けるのは男性の役割だと教えられてきたし、その指輪にも月収の何カ月分などいろいろな条件があると聞く。
女性からプロポーズを申し込むことだってあるが、その場合は“逆”プロポーズと呼ばれるらしい。なぜなら、男性からプロポーズすることが一般的とされているためである。
何より、彼女のご両親へのあいさつに気が重くならない男性などいないだろう。
あいさつとは、彼女の実家で行われる“娘の結婚相手の社会性を測る試験”と言い換えてもいいかもしれない。
家賃や生活費で彼女に依存している僕は、あいさつシーンを妄想するだけで体調が悪くなるほど気が重くなってしまう。
「基本的にはヒモ生活、少しライターもかじっています」
お堅い職業に就く彼女のご両親からは、門前払いされることは確実だ。彼女は彼女で、僕と付き合っていることを両親に怒られてしまうかもしれない。
「彼女のほうが高給取り」が悩みのタネに
あんまりだ! と思う一方、腑に落ちないこともない。
僕が彼女の父親の立場であっても、そんな甲斐性無しは門前払いするのではないだろうか。あまりに先行きが不透明だ。あいさつしにくるなら、「せめて経済的に自立してからにしろ」と考えるのが一般的だろう。
事実、彼女の親は娘に彼氏がいることこそ知っているものの、僕のことを詳しく紹介できずにいる。
ヒモは極端な例かもしれないが、このことは僕に限った話でもないだろう。
僕だって全く仕事をしていないわけではないが、「お小遣い稼ぎ」と書いたとおりだ。彼女との年収には大きな差がある。
社会が良しとする男性像から離れていたり、お付き合いしている彼女のほうが高給取りであることにコンプレックスを感じたり。パートナーへの感情とは別のところで、結婚までのステップに頭を悩ませる男性は決して少なくないように思う。