GDPシェアとメダルシェアを見ると意外な結果が
図表3は、ここまで検討してきたメダル数の点数のシェアと、GDPのシェアとの比較です。米国は先ほども見たようにGDPでは世界の4分の1のシェアを持つのに対し、メダル獲得のポイントでは11.1%しかありません。金メダル(39個)で見ても、総金メダル数の11.6%にしかなりません。メダル点数シェアをGDPシェアで割った数字(11.1÷24.9)は、0.45倍です。つまり、稼いでいるGDPほどメダルが取れていないということです。
意外なのは中国です。中国は「国を挙げて」オリンピックに取り組み、国威高揚を図っているようにも見えますが、GDPシェアの18.7%に対してメダル点数でのシェアはその半分ほどの9.4%しかありません。金メダルのシェアでも11.3%です。中国も米国同様、GDPほどメダルは獲得できていないと言えます。経済的な規模や強引なまでのプレゼンス拡大を考えると、少し意外な感じもします。来年の北京冬季オリンピックでのメダル獲得数に注目したいものです。
同様に、GDPの世界シェアに対して、メダル点数のシェアが低い国がドイツです。日本に次ぐ世界第4位の経済大国で、名目GDPは4兆3000億ドル、世界シェアは5%弱です。一方、獲得メダルでの点数シェアは3.3%しかありません。金メダルだけのシェアを見ると、獲得したのは10個ですから、全体の3.0%です。米国、中国とともに、経済力ほどのメダル獲得はできていないと言えます。
経済力とほぼ同等のメダルを獲得している国々
一方、経済力とほぼ同等のメダル点数を獲得している国々は、日本、フランス、カナダです。先ほども説明したメダル獲得シェアをGDPシェアで割った倍率をみると、日本が0.97倍、フランスが0.94倍、カナダが1.05倍です。経済的プレゼンスとほぼ同等のメダルを獲得していると言えます。ブラジルも1.2倍と、経済力を少し上回るメダルを獲得しています。
よく見てみると、カナダ以外の国々は、日本が開催国、フランスは次期開催国、そしてブラジルは前回オリンピックの開催国です。日本は開催国としてかなりの「気合い」が入っていたことは間違いありませんが、これは偶然の一致なのかは私には不明です。
ちなみに、上位15カ国に次ぐ16位の韓国(金6、銀4、銅10)は、メダル点数のシェアでは1.7%、世界のGDPに占めるシェアでは1.9%なので、ほぼ、日本やフランスと同じレベルということができます。