東京五輪のさなか、第1波~4波を大きく上回る規模の新型コロナ第5波の感染爆発に襲われている。デルタ株の影響などいくつかの要因が挙げられているが、統計データ分析家の本川裕氏は「ワクチン接種率の高い国ほど再び感染拡大しています。接種したことで人々の気が緩み、安心感から行動抑制が効かなくなっている」と警鐘を鳴らす――。
写真=iStock.com/insta_photos
※写真はイメージです

過去の第1~4波を超える第5波の感染爆発

東京オリンピック開催中のさなか、最近になって、過去の第1波~4波を大きく上回る規模の新型コロナ第5波の感染爆発に襲われている。医療崩壊への対策として政府が打ち出した「中等症患者の入院制限方針」に対して国民や与野党からは激しい批判が寄せられている。

こうした第5波の感染爆発の背景としては以下のような原因が挙げられている。

① 感染力の高いデルタ株の影響
感染力が1.5倍ともいわれるデルタ株への置き換わりが第5波の感染爆発の主犯とする説が支配的である。

② コロナ疲れによる危機感の減退
政府が発出する緊急事態宣言も「またか」と国民には真剣に受け止められず、公共機関や商業施設への厳しい休業要請もないこともあって感染抑制効果が限定的である。

③ ワクチン接種による気のゆるみ
高齢者へのワクチン接種が進み安心感から行動抑制が効かなくなっている。ワクチン接種が未完了の65歳未満層や若年層も自分が感染しても高齢の父母まで巻き込む可能性は低くなり、自己責任だけだからと気が緩んでいる。

④ ブレークスルー感染
ワクチン接種した人にも感染してしまう事例が多く報告されている。

⑤ オリンピック開催の影響
オリンピック開催で心理的な抑制が効かず、行政側も整合性からイベント等の制限を強制しにくくなっている。

⑥ 民間検査の急増による感染発見率の上昇
自費の民間検査が普及してきて感染が判明する割合が上昇している。

今回は、内外のデータを観察すると②コロナ疲れによる危機感の減退、③ワクチン接種による気のゆるみ、特に③の要因が大きいということを明らかにしたいと思う。