第5波は、全国の都道府県で一斉に感染が急拡大している状況

最後に、見方を変えて、都道府県別の感染推移の状況から、真相を探ってみよう。

図表3では、主な都道府県の人口10万人当たりの新規感染者数の推移を追った。

第5波の特徴は波の大きさと都道府県ごとのズレのなさ(同時性)

図表3は、これまでの5波にわたる感染拡大が各都道府県でどのように起こったかを示してくれている。第5波の特徴として、これまでの波と異なる点は、一斉に感染が拡大している点である。

第3波では北海道や大阪が先行し東京など首都圏や愛知などが追いかけた。第4波では沖縄や大阪が先行し、北海道や沖縄(再)が追いかけ、東京など首都圏はそれほどの感染拡大ではなかった。

第5波の特徴は、やや東京が先行したものの、ほとんど全国一斉に感染爆発が起っている点にある。

理由として考えられるのは、過去と異なって地域的な事情ではなく全国的な事情が働いているからと見るのが妥当だろう。そうだとすると全国統一的に地域ごとに大きな遅速なく進められているワクチン接種以外には考えられない。

厚労省の専門家会合(2021.8.4)では国立感染症研究所の推計では新規感染者のうちデルタ株に感染した人が占める割合は、8月初旬の時点で、関東で約90%、関西で約60%に達したことが明らかにされた。この地域差はインド等からの流入が早かったかどうかによっているとされる(東京新聞2021.8.5)。

しかし、デルタ株のこうした地域差は感染拡大の時期的な同時性とは矛盾する。関東で感染規模を増長したことは確かながら、デルタ株を第5波自体の主犯とする見方は退けられよう。

直近で子供の誕生日があった世帯の感染率は誕生日のない世帯の1.6倍

ワクチン接種による気のゆるみを第5波の真犯人とするここでの主張は、あまりに心理的要因に重きを置きすぎた説だとの批判もあろう。しかし、感染症の拡大にとって心理的な影響は非常に大きいのである。

2020年1月~11月にかけての米国300万世帯のデータを分析した研究によると、直近2週間に誕生日を迎えた人がいる世帯では、そうでない世帯よりコロナ感染リスクが1.3倍高かった。また、子どもが誕生日の場合はさらに感染リスクが1.6倍になっていたという。誕生日パーティを開くこと、特に子どもがいる場合はそうだということがこうした結果につながったと見られる(東京新聞2021.8.4夕刊)。

ワクチン接種の進展が感染リスクを抑える以上に、心理的な効果で感染リスクを増したとしても不思議はないのである。

冒頭でふれた第5波の要因リストをもう一度掲げよう。

① 感染力の高いデルタ株の影響
② コロナ疲れによる危機感の減退
③ ワクチン接種による気のゆるみ
④ ブレークスルー感染
⑤ オリンピック開催の影響
⑥ 民間検査の急増による感染発見率の上昇

本稿での主張は、③が真犯人であるが、過去を上回る感染者数の拡大を招いている点には、もちろんその他の要因も大きくあずかっていると言っていいだろう。

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