選挙前の世論調査は「自民圧勝」だったが…
雑誌やネットでは、政治評論家等を名乗る人々のいい加減な選挙予想が散見されますが、メディアや政党の予想はそこまでいい加減ではありません。通常は、予想の背後に有権者に対して行われる何らかの量的な調査結果があるのです。
衆院選や参院選などの選挙期間中に大手紙等では、そうした調査を用いた選挙区ごとの当落見込み記事を「選挙情勢」等の名称で報道しています。“わかる人にはわかる”表現や語法で候補の優勢劣勢を曖昧に伝える記事を読んだことがある方は多いでしょう。最近ではあまり見なくなりましたが、泡沫候補が「独自の戦い」と表現されるアレです。
ただし、今回の都議選に関して「情勢」の調査と報道を行ったマス・メディアは毎日新聞のみです。他のメディアが行ったのは、東京都全体を対象とした、選挙区ごとではない、回答者1000人程度の調査です。
細かい説明は省きますが、調査の方式としては、日経・共同、読売、朝日は固定電話対象のRDD方式の電話世論調査を、東京新聞は自動応答式(オートコール)の電話調査を行っていました。各所に漏れ出てきた、自民党が行ったとされる選挙区ごとの情勢調査もオートコールによるものと思われます。
後述の毎日新聞も含め、図表1にその数字をまとめました。この表を見ると、どのメディアでも自民党の割合が抜きん出ていたことがわかります。表の最下部に、投票予定割合と実際の投票率の自民党と都民ファーストの比を示しました。どのメディアの値も実際の値である1.15を超えており、都民ファーストに比較しての自民党の投票予定割合を過大に報告していたことがわかります。
さて、このような東京都全体を対象とした事前の世論調査の数字のみでは、都議選の結果を予想することはできません。その理由は多岐に渡りますが、要点を絞って述べておきます。