集団の期待感がしぼんだときにバブルははじける
結局、本書からわかったことは、歴史上のバブルはすべて「みんなが欲しがる商品」や「値上がり確実な株」「金儲けできそうなうまい話」などに冷静さを失った集団心理で群がることで発生し、期待感がしぼんだときにはじけているということです。
1980年代の日本は、そこに「円高不況対策の緩和マネー」が入り込んで乱高下が大きくなり、そのせいで手を引く時期を読み違えた銀行、企業、国民が大火傷を負いました。そして今は、その1980年代とは比較にならないほど莫大な「コロナ緩和マネー」が飛び交っていますから、降り時を間違えると大変なことになるでしょう。
バブルがはじけた後の光景は悲惨です。自らの愚かさを棚上げした国民が、無責任に被害者面して怒りを爆発させ、延々と犯人捜しを続けていきます。もちろんそれで、泡と消えた金が戻ってくるわけでもありません。その光景は、いつの時代でも同じです。
最後に、バブルに熱狂する人々の性を言いあらわしたマッケイの言葉で、文を締めさせていただきます。
「人々が一斉に理性のくびきを逃れ、黄金の夢を追い求めてがむしゃらに走りだし、それが夢に過ぎない事実を認めることをかたくなに拒否し、まるで鬼火かなにかのように沼地に飛び込んでいく」
これを私たちの教訓としましょう。