食事は尿酸を生み出す第三のルート

人間は体内の尿酸全体の7~8割を自分の体の中で作っています。健康な人であればその尿酸の多くを尿や便中に排泄しているわけです。体内の尿酸が増えるメカニズムは、腎臓の尿酸排泄機能が低下して排泄する量が減ってしまうか、体内で作り過ぎてしまうか、あるいはそのいずれでもあります。これらの原因で高尿酸血症があり痛風を起こした人は薬を服用して尿酸コントロールを行う必要があります。

食物を口にすることで体外から尿酸を取り込むことは尿酸を発生させる第三のルートだと考えられます。したがって尿酸のもととなるプリン体を多く含んでいる食品を食べ過ぎず、できるだけプリン体の少ない食品を中心に栄養バランスのよい食事をすることに尽きます。

たとえばビールが高尿酸血症によくないのは、プリン体を多く含んでいるからだと思われている節があります。しかし、よく調べてみるとレギュラーサイズ、350ccのビールに含まれているプリン体は、ご飯一膳に含まれるプリン体の4分の1か5分の1にすぎません。だからといってもちろんたくさん飲んでもいいということにはなりません。ご飯のプリン体よりもビールのプリン体のほうが水に溶けている分、人体に吸収される量が多いからです。

「焼酎なら大丈夫」ではない

そういうと、お酒好きの患者さんの中には、どこで勉強したのか「ビールから焼酎に切り換えたから大丈夫でしょう」とわざわざいってくる方もいます。たしかに焼酎にはプリン体は含まれていません。

しかし、根本的な問題があります。焼酎に含まれるアルコールが分解されるときに尿酸ができること、さらにアルコールが分解されてできる乳酸が尿の中に尿酸を排泄する腎臓の機能を抑えてしまうことです。高尿酸血症の患者さんにとって飲酒がよくないのは、すべてこのアルコールの働きに原因があることを再確認していただきたいと思います。

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2007年の2月の初めごろ、通院される患者さんから異口同音に「納豆はどんどん食べてもいいのですね」といった質問を再三受けることがありました。同じ頃、世の中のスーパーでは納豆が飛ぶように売れて、消えてなくなっていたのです。

これは関西テレビが制作し、フジテレビ系列で2007年1月7日に放送された『発掘! あるある大事典II』の影響でした。そこで「納豆のダイエット効果」が報じられたのです。その内容は捏造だったため、番組は打ち切りになりました。テレビで報じられたからといって、安易に飛びついてはいけません。

主だった豆類100gあたりのプリン体の含有量は以下の通りです。豆腐31.1mg、小豆77.6mg、納豆113.9mg、大豆172.5mg。こうして見ると、納豆や大豆はプリン体が比較的多く含まれていることがわかります。もちろんどれも体にはいい食材なのですが、健康にいいから、同じ食材ばかりを食べ過ぎるのは避けるべきでしょう。