父・雄士は姉妹にゴルフを教えたことはない
幼少時代からゴルフクラブを振ってきた岩井姉妹の戦績は枚挙に暇がない。
姉・明愛は関東高校ゴルフ選手権で2連覇を達成。妹・千怜は埼玉県女子アマ選手権3連覇、ゴルフダイジェスト・ジャパン・ジュニアカップ3連覇。プロの大会にも挑み、明愛は昨年の日本女子オープンで、千怜はスタンレー・レディスで、それぞれローアマに輝いた。
今年3月に埼玉栄高校を卒業し、4月からは同じ県内の武蔵丘短期大学に進学。学校生活の変化とほぼ同時進行で、今後のキャリアを大きく左右するプロテストに挑んだ。
日本女子オープンでローアマになった明愛は1次、2次予選が免除され、最終テストからの一発勝負。千怜は1次、2次、最終の3段階をくぐり抜け、どちらも合格を果たした。
そんな2人がゴルフを始めたきっかけは、「父親の影響」。だが、父・雄士は2人にゴルフをさせようとしたことも、強いたこともなく、自らは教えてもいないという。
7歳の夏、姉妹は大人用のクラブを1時間も握り続けた
岩井家は5人家族だ。父・雄士は公務員、母・恵美子は看護師。二卵性の双子姉妹の2つ下には弟・光太がいる。
姉妹が7歳の夏、多忙をきわめていた母・恵美子が少々不機嫌だったため、父・雄士は「半ば嫌々、明愛と千怜を練習場に連れていった」。すると姉妹は大人用のクラブを1時間も握り続けたそうだ。
それからは、父親が練習場に行こうとするたびに「アキちゃんも行く!」「チーちゃんも!」とせがまれた。
2人が自分のクラブを手にしたのは、その年のクリスマスのことだ。
「サンタさんにゴルフクラブをお願いしたら、翌朝、ゴルフバッグが置かれていました。それまでで一番うれしかったことでした」(明愛)。
しかし、舞台裏はなかなか大変だった。
「ジュニア用のゴルフクラブが売られていることすら知らなかった私は、きっと高額で無理だろうと思いながら調べてみたら、1万円ちょいであったので、それを買って彼女たちの枕元に置きました」(父・雄士)