現代人は頭の筋肉を酷使している

筋肉が硬くなると、筋肉中や筋肉周辺の血液やリンパなどの流れが悪くなるため、筋細胞に十分な栄養や酸素が運ばれなくなり、一方で、二酸化炭素や、「疲労物質」と呼ばれる乳酸などの老廃物が排出されにくくなって、たまっていきます。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/CSA Images)

そのため、筋肉がますます疲労して硬くなり、こりがひどくなる……という悪循環が生まれるのです。

ものを見るとき、食べるとき、話すとき、考えるとき、頭の筋肉は常に働いており、特に、パソコンやスマホを見たり、膨大な情報を処理したりしている現代のビジネスパーソンは、かなり頭の筋肉を酷使しています。

ご自身の頭を触ってみてください。

もし、「頭皮を指で押したとき、頭皮が動かなかったり、硬さを感じたりする」「頭皮を2本の指でつまんだとき、うまくつまめなかったり、痛みを感じたりする」「額の、髪の生え際を押した後、へこみが戻りにくかったり、指の跡が残ったりする」といった状態であれば、頭がこっている証拠であり、頭が疲れている証拠です。

また、頭皮の色が黄色っぽいのは疲れやストレスがたまっている証拠、赤みがかっているのは血液の流れが悪い証拠、頭皮がブヨブヨしているのは、リンパの流れが悪い証拠、といえます。

側頭筋は特にこりやすく疲れやすい

頭の筋肉の中でも、特にこりやすいのが、頭の両サイド、こめかみから耳の上の周辺にある側頭筋です。

側頭筋はあごの筋肉とも連動しており、飲食時や会話時をはじめ、動かす機会が多いからです。長時間のデスクワークやスマホの使用による姿勢の乱れも、側頭筋の疲れをもたらします。

また、側頭筋はストレスの影響を強く受けます。

ストレスを感じると、筋肉は緊張し、血管は収縮します。ストレスがかかり続ければ、筋肉はやはり疲労して硬くなり、血流も悪くなって、こりが生じます。ストレスを感じたとき、それを処理するのは脳であり、頭の筋肉はどこよりもストレスの影響を受けやすく、こりやすいのです。

さらに、ストレスは食いしばりや歯ぎしりの原因ともなります。ストレスを感じていると、人は無意識のうちに、歯を食いしばったり歯ぎしりをしたりして、ストレスを発散しようとするからです。

そして、食いしばりや歯ぎしりは、側頭筋に過大な負荷をかけます。

自律神経の乱れも「疲れとストレスの悪循環」を招く

なお、人間の体は「交感神経」と「副交感神経」から成る自律神経によってコントロールされています。交感神経が優位になると、心身が緊張し、活動に適した状態になり、副交感神経が優位になると、心身がリラックスし、睡眠や休息をとりやすくなります。