事前の警告もせず、デモの参加者を実弾で狙っている
デモが始まった当初、国軍側はゴム弾を使ってデモ隊排除に動いた。だが、いまでは実弾による銃撃が続き、事前の警告もせず、デモの参加者を狙って水平に撃つこともある。SNSには、自動小銃を使用した動画が多数、拡散している。デモ参加者の病院への搬送を行う非営利組織の事務所に押し入って破壊したり、救急車両を停めさせて救急隊員に暴行を加えたりする映像も流れた。どう見ても無差別の攻撃である。
一方、在ミャンマー日本大使館は5月3日、最大都市のヤンゴンで拘束されたフリーの日本人ジャーナリストの北角裕樹さん(45)について「虚偽の事実を流布した罪」などで起訴されたことを確認した。
北角さんは、国軍が外国人ジャーナリストを起訴した初のケースとなったが、ミャンマーは日系企業や日本人が多く、いつ日本人に死者が出ても不思議ではない。日本政府が本気になってミャンマーが自由と民主主義を取り戻せるよう、その外交手腕を発揮する必要がある。ASEANの力だけでは心もとない。日本をはじめとする民主主義の国々がとともに動くことで解決の糸口が見えてくるはずである。
ちなみに、北角さんは日本経済新聞の記者を辞めて大阪市の公募校長制度に応募し、2013年に大阪市立中学の民間人校長を務めた。その後ミャンマーに渡り、ジャーナリストとして活動を続けていた。
19歳の女性の遺体を墓から掘り出す国軍の恐ろしさ
ミャンマー第2の都市、マンダレーでこんな悲惨で恐ろしい事件も起きている。
3月3日、デモ中に頭を銃で撃たれ亡くなった19歳の女性の遺体を国軍側が「検視を行うためだ」との名目で墓から掘り起こし、その後、国営テレビが「検視の結果、摘出された銃弾は警察のものではない。警察がいた方向からは撃たれていない」と報道したというだ。
この報道に対し、SNS上には「だれが信じるか」「墓まで掘り起こす国軍は恐ろしい」との書き込みが相次いだ。
女性は警察と前線からデモ隊に指示を送っていたところを撃たれた。彼女の死は新聞やテレビ、ネットで広く伝えられ、デモ隊はその姿をイラストして掲げなど女性は抗議活動の象徴的存在となっていた。