必要な時間はスケジュールから「天引き」

では、試験におけるKSFとはなんでしょうか。1つのカギは、「過去問」でしょう。試験においては過去問を分析して、勉強する範囲をまず絞り込むのが合格の鉄則といえます。しかし、真面目な人は、参考書を全部覚えようとしたりしてしまうので、結局、どれも中途半端になって失敗してしまうのです。

原マサヒコ『世界一やさしい超勉強法101』(飛鳥新社)

試験におけるもう1つのKSFは、「合格最低点ねらい」です。合格をするには基準点があります。その点を上回っていれば合格というラインです。ですから、わざわざ100点満点を取る必要はないのです。6割なり7割なり、最低ラインさえクリアできていれば合格できます。

「過去問」と「合格最低点ねらい」には、いずれも事前に頭を使って時間をかけて取り組む必要があります。しかし、「時間がないから」と焦ってしまい、KSFを見つけることをせず、結局は遠回りして失敗してしまう人が多いのです。

では、時間を作るためにどうすればよいかというと、「天引き貯金」の発想が必要だといいます。お金を貯めるための最も確実な方法は、収入のうちの一定額をあらかじめ貯蓄に回し、残ったお金で生活をするという方法です。それと同じように「時間が余ったらやろう」と思っていても、「いつか」「そのうち」という時はやってきません。重要なのは、やりたいこと・やるべきことのための時間を、あらかじめスケジュールから「天引き」することなのです。

「いい道具」と「いいコーチ」を揃えよう

社会人の勉強の場合、特にIT機器など新しい道具をいかに使いこなすかが重要になります。忙しいなかでの勉強となると、PCで動画を閲覧したり、スマホで音声を聴いたりして、無理なく効率的に勉強していく必要があるからです。

人間の記憶力や意志の力はさほど大差はありませんから、勉強法において他者より抜きんでるためには「道具」と「やり方」にフォーカスするべきだと、経済評論家の勝間和代さんは『年収10倍アップ勉強法』で書かれています。具体的には、「勉強もスポーツと同じで「いい道具」と「いいコーチ」を揃えたほうが、独学で練習するよりも上達が早い」とか。根性論や努力論ではなく、正しいやり方でスキマ時間を使いながら練習を重ねていくべきだということですね。