ボランティアのスタッフ同士で対立することも

オープン当初、トラブルになりやすいのは、猫の具合が悪い時だった。病院や投薬のタイミングは人それぞれ違う。「これだけ具合が悪いのに、なんで病院に連れていかないんだ」という人もいれば、「病院に連れていくほうが猫のストレスになるから、1~2日は常備薬で対応しよう」という人もいる。

2カ月間、自宅でノネコを飼育した「預かりさん」が、カフェに猫を渡した後、クレームをつけることもたびたびあった。

「2カ月間、自分で面倒を見ている間に、“自分の猫”という感覚になってしまうんですね」と、岩﨑さんが言う。

撮影=笹井恵里子
「ケット・シー」の店内の様子

「自分がお世話した、かわいい猫をここに預けたんだから、自分が思ったようなお世話、ケアをしてもらいたいという人もいました。預かりさんが、カフェのボランティアに対して“こんなお世話じゃダメ”と文句を言うわけです。するとカフェのボランティアさんは萎縮してしまう。でもね、さっきも言ったように、ここに来た猫はみんな幸せなんです。そしていろんな問題が起きた時、ここの場所は誰のものか? 考えないといけない。殺処分されそうな猫のために、服部さんがつくった場所なんです」

「全ての生き物に心から優しい国になってもらいたい」

今だから言うけれど、みんなからいろいろ言われて悔しくて泣いたこともあった、と服部さんが言う。

開業前にロングだった彼女の髪は、一年後の今はボブになっていて、そこに服部さんの強い意志を私は感じた。

ケット・シーをオープンする直前、服部さんは私にこう話してくれたのだ。

「奄美大島のノネコを中心に救っていきますが、全ての生き物に本当に心から優しい国になってもらいたい。殺処分がなくなるまで頑張っていく」(続く。第3回は4月30日11時公開予定)

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