「劣悪な飼育環境に加え、農場側には感染症の発生を防ぐ意識などほとんどなく、衛生管理は杜撰を極めている」と、バスは指摘する。「毛皮農場で飼われているミンク、タヌキ、キツネはいずれもコロナウイルスを保有している可能性があるため、人間にうつる新たなウイルスがいつ発生してもおかしくない」
HISが調査した毛皮農場は13カ所とも人畜共通感染症の発生を防ぐ最低限の措置を取っておらず、新型コロナ発生後に中国当局が導入したルールもろくに守られていなかった。HISは中国当局に証拠の映像を付けて調査結果を報告した。
「今回の調査は中国で行なったが、窮屈な檻に動物を閉じ込め、人間なら確実に心が病んでしまうような状態で、飼い殺しにする慣行は、ヨーロッパや北米各地の毛皮農場でも見られる」と、バスは言う。「毛皮を取るために、工場方式で動物を飼育すること自体、残酷極まりない行為だが、公衆衛生上のリスクからも、こうした慣行は受け入れがたい」