“少数派”も暮らしやすい社会の実現は急務
セパレートの思想は産業革命によって均質な労働者を確保するために生まれました。学校がその典型です。そして、セパレートの思想は均質な労働者に加えて、国民皆兵にも合致したため、国民国家の中で急速に市民権を得ていきました。それ以前の人間社会はインクルージョンの社会でした。つまり、セパレートの思想のほうがずっと新しいのです。
インクルージョンの思想に基づけば、事業主に一定割合の障がい者を雇用するよう義務づけている障害者雇用促進法は意義あるものといえます(民間企業は2.2%、国や自治体は2.5%)。
ところが、2018年には、国や自治体が、障がい者の雇用率を水増しするという、実に情けない事実が次々と発覚しました。
2周も3周も周回遅れの日本で、LGBTQや障がい者など少数派の人たちが安心して暮らせる社会の実現は、急務です。少数派の人たちに優しい社会は、実は多数派の人たちにとっても暮らしやすい社会なのです。
ちなみに最近の僕は、LGBTQより広い概念であるSOGI(Sexual Orientation & Gender Identity 性的指向と性自認)という言葉を、なるべく使うようにしています。