大学生の子どもをもつ親が負担に苦しむ「学費+仕送り」

大学生への遊学仕送り金が馬鹿にならないことを上に述べたが、実は子どもが小中学生の頃と大学生になってからでは教育費にも大きな差がある。

そこで、世帯主の年齢を細かく5歳階級で区分した教育費比率を図表2に示した。

34歳未満では1.6%とそれほどではなかった「教育費負担(比率)」(緑色)は、子どもが大きくなるにつれて、30代後半には4.0%、40代前半には6.6%と大きくなる。そして、子どもが大学に通うような年齢の40代後半~50代前半の親の世帯では9.2~9.3%とピークに達する。そして、子どもが独り立ちしていく60代前半には1.8%まで低くなり、65歳以上では1%未満にまで落ちるのである。

家計調査の結果データには、「教育費負担(比率)」とは別に、教育費に加え、教育費にカウントされない国内遊学仕送り金のほか、制服代や通学定期代などを含む「教育関係費」が集計されている。これを世帯主の年齢別に集計し図に併記した。これを見ると教育関係費(白色)は50代前半で何と14.1%にまで達する。

教育費はこの20年で約2割もアップした

国全体の教育費について、最後に、教育費比率の推移について見ておこう。

図表3には、教育費比率の推移を示した。世帯主(青線)の年齢計の推移は2000年の4.4%から2020年に3.7%と0.7%ポイントの減である。しかし、こうした教育費比率の低下は対象となる二人以上の世帯の高齢世帯比率がどんどん上昇しているためである。

高齢化の要素を除去するため、世帯主年齢が65歳未満だけ(グレー線)の推移を追うと、同期間に5.3%から5.9%へと逆に0.6%ポイントの上昇である。2019年、20年と2カ年連続でこの値は下がっている。この低下を除いて考えると、この20年間でほぼ1%ポイントの上昇である。5%の水準が1%ポイント上昇したということは約2割増ということである。

このように高齢化の進展の影響を除いて見てみると日本の教育費は大きく上昇してきているのである。

上に「子どもをもつ親にとっての教育費負担はますます大きくなっており、これが少子化の要因として決定的となっているといわれるが本当なのだろうか?」と記したが、まさに、イエスと言わざるを得ない。

図表1を改めて見ると、特に世帯主の年齢65歳未満の家計における教育費と国内遊学仕送り金を合わせた8.0%のうち、大学授業料等と国内遊学仕送り金は4.1%と半分を超えている。大学関係の教育費負担を減らさないと少子化に歯止めがかからないのは当然であろう。

そのためには、奨学金の増額、公的負担の拡大、大学教授の人件費削減などが選択肢として考えられるが、主に前2者が議論されている一方で、言論界を支配している大学関係者に気を使って政府もマスコミも最後の点についてはタブー扱いにしているフシがある。もちろん、有識者が自ら言い出すこともない。