国による政策誘導をやめるべき

ここまで地域におけるリゾート開発の結末を見てきたが、国が行う地域活性化のための政策誘導は、地域特性を考慮しない「全国一律」の手法や、地域に浸透しない「表面的」な施策が用いられており、逆に地域を衰退させる可能性がある。

宮崎雅人『地域衰退』(岩波新書)

にもかかわらず、国が責任をとることはなく、自治体およびその住民が長きにわたって負担を負うことになる。国は「誘導」は行ったものの、事業実施の「決定」を行ったのは地方自治体であるからという論理である。リゾート開発だけではなく、国と地方の関係では、そうしたことが繰り返されてきた。このような政策誘導の失敗による地域衰退はもう終わらせねばならない。

あわせて、東京都に所在する企業を中心とした地域外の企業が地域活性化策で一儲けするという構図も、終わらせねばならない。地域を「食い物」にするようなプロジェクトがなくなれば、それだけで事態はずいぶんと改善されるはずである。

つまり、国による政策誘導をやめることが、地域を衰退から救う有効な手段なのである。

筆者の提案に「物足りなさ」を感じる読者もいらっしゃるかもしれないが、この国で何かをやめることは相当大変なことである。新型コロナウイルス感染拡大以降の国の政策を振り返っただけでも、このことはおわかりいただけるのではないだろうか。

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