ビットコインに加わった「避難通貨」としての価値
一方、ビットコインは、そのような事態に、すさまじい値上がりをすると考えられる。キプロス危機の例を持ち出すまでもなく、資本統制(=海外への送金禁止)を政府が強いる時には、人々は暗号資産に殺到すると思われる。
政府が資本統制をしなくても、日銀の財務内容悪化で欧米金融機関が日銀と取引をしなくなれば、円を外貨に変える手段がなくなる。その意味でも暗号資産に日本国民は殺到すると思うのだ。
要は、今ビットコインは、今現在、インフレ対応金融商品として価格が上昇しているが、日銀のすさまじく脆弱な財務内容を考えると、さらに避難通貨としての価値が加わると思うのだ。
インフレ対応、ならびに避難通貨として私は今、ビットコインに強気だ。中長期的な展望としても(どの暗号資産が生き延びるかは別として)暗号資産の将来は明るいと思っている。
その一方、税制、デリバティブの不在など多くの問題をいまだ抱えているのも事実だ。それゆえに、私は、予想される危機に対して、ずっとドルを“主”として、暗号資産を“従”にお勧めしてきた。字数の問題もあるので、さらに詳しい説明は今回は行わない。1月27日刊行の『藤巻健史の資産運用大全』(幻冬舎新書)をお読みいただければ幸いだ。
この本では、暗号資産購入を大いに推薦しているが、この数カ月の急騰を見た後で書いたと思われては心外なので一言書き添えておきたい。この本は昨年夏に「プロの技を盗もう」との趣旨で予想される危機に際して、「どの金融商品をどう使えばいいのか」のWEB講義を行った。その文字起こしの本であり、原稿はビットコイン急騰前の昨年10月にはすでに幻冬舎に提出してある。少なくとも暗号資産に関しては、今のところは、当たっていたということだ。後出しじゃんけんではない。