ビットコインの価格が1月8日未明、4万ドル(約415万円)の大台を初めて突破した。今後も上昇は続くのか。モルガン銀行(現・JPモルガン・チェース銀行)元日本代表の藤巻健史氏は「今後は資産を守るための『避難通貨』の役割が高まる。価格の上昇は今後も続くだろう」という——。
虫網を用いてビットコインをキャッチしようとしているビジネスマン
写真=iStock.com/tommy
※写真はイメージです

財政ファイナンス相場の進行

世界中のマーケットで、株価が上昇し、ビットコインの価格も上昇しているのを見て、昨年6月のプレジデントオンラインに「いよいよ世界的な『財政ファイナンス相場』が始まったのでは?」と書いた。

各国がコロナ禍対策の大型財政政策を打ち、その財源調達のために発行された国債を中央銀行が大量に買い取り始めた。その結果、お金がジャブジャブになったことを主題にマーケットが動き始めたと思ったのだ。

最近、それらインフレに強い資産の上昇に加えて、米国の長期金利も上昇を始めた。マーケットが、法定通貨の減価を強く意識し始めたのだろう。法定通貨の減価とは「お金の価値が下がる」ことを意味する。日本で言えば1万円札の価値が下がる。1万円札で少量のモノしか買えなくなる。すなわち「インフレ予想」といういうことだ。

インフレに強い株、金属資源や石油、デジタルゴールドとも称されるビットコインの値段が上昇し、さらには長期債が売られる(=長期金利が上昇)のはまさに「インフレ予想相場」と言える。

元本100万円の長期債を買っても、満期に手にする100万円でお米10kgしか買えない(=インフレになる)と思えば、誰もそんな国債にお金を寝かせないのだ。