目の前にいる人を大事にしよう
たったひとりの人間との関係においても逃げ腰で落ち着きのない姿勢は、友人知人関係にも出る。自分と接しているときに、どこか上の空でキョロキョロと周囲に目をやっている人間など、ましてや無神経にもスマートフォンやタブレットを弄っている人間など、誰が本気で相手にするだろうか。目の前にいる人を大事にしよう。
それから、ギブ&テイクの関係でないと関わりたくない人間とは、最低限にしか関わらないことだ。そういう人間は、ほんとうは、あなたにとって必要じゃない。「こいつにならば与えて与えて与えても構わない、何も返ってこなくてもいい」と思えない人間とは、深く関わらないことだ。
いっぱい与えて、裏切られてもどうということはない。裏切るより裏切られるほうがましだ。借りがあるより、貸しがあるほうが気楽だ。
これから、ほんとうに厳しい時代が来る。そんな時代は、やはり信頼できる人間と共に越えていきたい。たったひとりでも、そういう人と関われたのならば、それだけで実に強運だ。
人は思っているより多く、他者からの恩恵を受けている
私は前著『馬鹿ブス貧乏で生きるしかないあなたに愛をこめて書いたので読んでください。』において、「ひとりでも寂しくない人間になる」ことの重要性を書いた。寂寥感に負けそうになったときの対処法も書いた。自分の生活を成立させている多くの事物やシステムを思えば、どれだけの恩恵を自分が他者や社会から得ているかがわかり、孤独感は消えると私は書いた。
ちょっと近内悠太の『世界は贈与でできている 資本主義の「すきま」を埋める倫理学』(News Picks Publishing, 2020)を読んでみてください。あなたが思っているよりも、あなたは、あらかじめいっぱい贈与されていることに気がつくから。