GIGAスクールで何が始まるのか

GIGAスクール構想で、児童生徒1人1台の端末が配布されることにはなりますが、ではそれを使って、具体的にどのような教育が進められるのか、保護者の方にはなかなかイメージしにくいかと思います。

多くの学校では、おそらく端末を、さまざまな調べものをするための辞書のように使うことから始めるでしょう。また、パワーポイントなどのソフトを使って、プレゼンテーションを作ったりもすると思います。

私は現在、都内の公立小学校で6年生の担任をしていますが、新型コロナウイルスの感染が広がる前の1月から2カ月間(当初は3カ月の予定だったが休校により短縮)、GIGAスクール構想の先進的事例の検討のため、当時のクラス(5年生)全員にiPadを配って授業で使用しました。

コロナ休校中は、Zoomを使って「朝の会」を行いましたが、学校再開後も引き続きオンラインを授業に取り入れています。GIGAスクールで整備される端末やネットワーク環境を使うとどんなことができるのか、一例としてご紹介したいと思います。

Zoomで学校の外と「つなぐ」

6月に学校が再開された後、私のクラスでは総合の授業でZoomを使ってSDGsについて学びはじめました。

庄子さんのクラスとつないだ授業中の、鹿児島県の学校側の様子(写真=本人提供)

インターネットは「どこでもドア」のように、世界中どこにでもつなぐことができます。遠く離れた人の話をライブで聞いたり、現地の様子を映像で見たりすることができます。私たちは、過疎化で全校児童10人という鹿児島県の学校とつないで、お互いの地域や学校について紹介し合ったり、クイズを出し合ったりしました。先方の街のことをネットで調べ、観光客を増やすためのアイデアを提案したり、先方の学校の子どもたちからは、「密にならないようにするにはどうすれば良いか」を提案してもらったりしました。

ゲストティーチャーによるSDGsの授業(写真=本人提供)

ゲストティーチャーをお呼びして子どもたちに話をしてもらうという仕組みは、コロナ前からありましたが、交通費や移動時間がかかるので簡単なことではありませんでした。それが、「オンラインで1時間だけお話ししてください」ということであれば、多くの方に協力していただけます。

5年生のクラスでは、ZoomでJAXA(宇宙航空研究開発機構)や法務省の方々とつないでいましたし、4年生は東京についての学習をする時間に、山間部の学校とつないで話を聞くこともできました。海外との手紙のやり取りも、グーグル翻訳を使えば翻訳が簡単にできます。私のクラスでは1月にiPadを使いはじめた頃から、インドの学校など海外との手紙の交流も続けています。