後世に記憶されるターニングポイントに
筆者はこれまで7年間にわたってSIPの議論に参加してきたが、日本の自動車産業界にとって今必要なのは、自動運転のような先進技術において、ルール作りと技術開発で先回りすることだ。SIPのようなオールジャパン的開発体制の意義も、そこにある。
さらに、自動運転技術を社会に実装するには、技術的進化だけでは不十分だ。目指すべき将来のモビリティのビジョンを描きながら、「実際の利用者にどういうプラスの価値を提供できるのか」「必要なコストや法的・倫理的側面について社会的合意をどう取っていくか」といった、「社会受容性」についての考察がきわめて重要である。
いずれにせよ、交通事故のない社会、誰もが自由に移動できる未来社会を目指した長い道のりが始まった。2020年は後世に記憶される重要なターニングポイントとなったのではないだろうか。レベル3自動運転車の市販を決断したホンダの動きに、他のメーカーが追随することを願っている。